森羅万象の旅日記

7  高原のコンサート

高山の町はとにかく暑い。テレビや雑誌で高山というと必ず登場する昔の町並みが残っている場所に行ってみた。いやいや、平日というのに人の多いこと、しかも皆団子のような物を食べながらあるいている。きっと旅の雑誌でどこそこのこれがうまいとでも紹介されたのだろう。

かく言う私も、高山のここのラーメンがうまいという店に行ってみて驚いた。まだ開店前なのに長蛇の列である。しかもこの酷暑の中で炎天下の行列である。早々に退散し、遅めの朝市をひやかし、古い商家を見学する。

確かに町並みは素敵だし、建物も興味深いが何しろ人が多い。人ごみに疲れてしまって、何処かもっと静かな所に行こうということになり、地図の上で隣町の飛騨古川という所を拾い出した。
飛騨古川という町はまったく知らない町であったが、行って見ると実にいい町である。漆喰なまこ壁の建物に沿って川が流れていて、きれいな水のなかでは沢山の錦鯉が悠々と泳いでいる。その上流には川をはさんで連続した昔ながらの住居がならんでいる。

川のほとりの木陰に椅子を出し、おばあちゃん達が世間話をしている。素直でない我々は、あれはきっと観光課に頼まれてパートでああやっているんだよ。などと憎まれ口を言うくらい一つの風景になっているのだった。

何でも古川は太鼓の有名な所らしく、起こし太鼓の里という広場には大太鼓が備えてあった。まさかと思ったが、そこに居合わせたおじいちゃんが、打っても良いと言うので、バットのような物で渾身の力を込めてスイングした。

途方も無い大音響がして、頭の中がスカーとした。むしゃくしゃした時はこれに限るな。しかし太鼓の皮ってなんて丈夫なんだろう、と変な感心をしながら隣の食べ物屋さんで、旅の雑誌には絶対載っていない団子を買う。

日も少し傾きかけてきたのでキャンプ場にもどろう。高原には夏の夕暮れの涼しい風が吹いていた。そして我がテントもキャンピング道具らしき物も薪一本朝のままであった。かくして昨夜と同様の酒盛りが予定どうり始まるのであった。

酒もかなり回って興の乗ったところで急にオカリナが吹きたくなった。コンドルは飛んでいく、と言う曲をどうしても吹きたくてオカリナを初めて十年、独学ながらコンサートを開くまでになった。もっとも口の悪い友人は、あれはコンサートではなくトークショーだと言う奴もいるが。 チックショー。

最初にシャロームを吹いてみる。シャロームとはイスラエルの言葉で、日本語だと、お幸せに、とか、あなたに平和を、と言うような意味である。名前は知らなくても曲を聴くと、あぁあの歌かと思う人がかなりいるのではないだろうか。きれいな透明感のあるオカリナにぴったりの曲である。

高原の澄んだ空気の中を細い絹糸のようにオカリナの音色が響き渡る。うむ、今夜はなかなか調子がいい、何曲か吹いて一息いれているとほどなく、彼方から何か金属でも叩くような音が聞こえてきた。

さてはオカリナの音が迷惑だったのかなと思ってみるが、それにしてはどうも叩く音が、チャ、チャ、チャ、 チャ、チャ、チャ、とリズムを刻んでいる。吹き始めるとその音はしなくなり、やめるとまた、チャ、チャ、チャ、が始まる。

どうやらアンコール、アンコール、と言っているようである。すっかり気分をよくして数曲を吹きこなす。空には上弦の月、かくして高原の夜は過ぎていくのであった。

風水ワンポイントアドバイス

東の方角を八卦(はっか)では震(しん)と表現します。そして震の象意(しょうい)の中で代表的なものは雷です。ですから先ほどの太鼓やピアノとかCDプレーヤーのように音を出すものや、電話、ラジオ、パソコン、ファックス、のように情報を出したり取り入れたりする物の置き場所としては東の方角が吉方位となります。また東方には長男という象意もありますので、住宅で長男の部屋は家の中心からみて東の方角が最も良い方位となります。

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