森羅万象の旅日記         



8.麺類についてのうんちく



朝早く目覚めてテントから顔を出すと、向うで一人用の小さなテントを片付けて旅立とうとしている人がいる。このキャンプ場の管理人さんに聞くところによると、此処にもう一週間もいるとのことである。

何でも秋田から来て山口までいくらしい。自転車はと言うと今風のサイクリング車ではなく、ごく普通の自転車である。年齢はどう見ても六十歳はこえている。あれでよくこんな高原まできたものだ。ここで十分休息を取り、また次ぎの旅に出るのだろう。大変だなと思う反面うらやましくもある。

もう一方では熟年夫婦がキヤンプ道具を片付け始めた。この時点で我々は食事の用意にとりかかり、そして食べ終り、後片付けをして全部車に積み込み、さあ出発という時点で先ほどの夫婦はまだ片づけが終わっていない。

こちらが早いのか、向うが遅すぎるのか、やはり我々が早すぎるのだろう。卑近な例で申し訳ないが、我が家で昼食を作るのは私の役割である(夕食もほとんど私が作っている)。なぜならおいしい物が食べたいからである。


昼食は一年中麺類と決めている。麺類といっても色々あるが蕎麦、ラーメン、がやはり多い。いつのまにか我が家に居着いている沙らら先生などは、この数年間で食べた蕎麦の量は過去に食べた合計量をはるかにうわまわっているそうである。

麺類は麺の茹で時間がすべてである。私はラーメンを作る時に、麺を茹でるのと、スープを作り野菜をいためるのを同時にやるので、ガスレンジの火口の数は三口欲しい。そしてこれらの動作は当然秒単位である。

今、某テレビ局で人気のある貧乏脱出という番組がある。客が入らない飲食店の主人がその道の達人の店に短期間修行するというものであるが、いつも見ていてイライラするのは、その主人の動作があまりにも緩慢なことである。プロの料理人としては常に二つ、三つの動作を同時にこなすのは当然ではないだろうか。

先日など、テレビに出たという隣町のラーメン屋に行ったが、ラーメン一杯出てくるのに四十分ほども待たされた。これはカウンターに座ってからの待ち時間である。それから二度と行かないが、窓越しに垣間見ると最近はほとんど客も入っていないようである。

また話が横道にそれるが、一カ月ほど前になるが半月間毎日沙らら先生と八王子の蕎麦屋を食べ歩いた。そして独断と偏見でランキング表を作ってみた。これらの蕎麦屋は八王子では名前の通った店であったり、店構えもそれなりの造りをしている蕎麦屋を選んだ。

ここでは毎日ということが大事なのである。毎日だと昨日食べた味をしっかり覚えているからなのである。さらにランキング表では麺と汁と値段別に分けてみた。そして思った事は、うまいと評判の店は確かにそれなりの味は出している。が 値段が高いし、量も少ない

そしてこんな店もあった、新築の店はヒバ材を使ったなかなか素敵な店であった。まだ若い主人はバンダナを巻き、作務衣に草履という出で立ちであった。
出された蕎麦は、彼が焼いたと思われる名前の入った皿に盛られてきた。

が 一口食べてがっかり、我が家の乾麺のほうがよほどうまい。それに皿であるが、これなら陶芸歴二年の沙らら先生のほうが数段良い物を作る。他にも蕎麦を皿で出すところがあるが、あれは絶対間違っている。いつまでも水が切れなくて不愉快だ。

そのなに自作の作品を出したいのなら、自分で編んだざるでも出してくれ。
結局この店は、5点満点のうちの2点。最高点はもりそば五百円の全然有名ではない店、点数は4.5。ちなみに我が家の蕎麦は3.7で同率2位。

ここで大きなお世話であると思うが、おいしい我が家の蕎麦のうんちくをひとつ。蕎麦は山形のとびきりか、しこしこ麺、と東京の十割蕎麦のブレンド、ブレンド率は好み次第。そして茹であっがた蕎麦は必ず氷水にくぐらすこと。

つゆは市販の物でも結構おいしい、我が家では現在は二倍希釈の追いがつおつゆを使用。ただし、昆布としいたけの出し汁を水からつくり、それに鰹節を加えてちょっと煮立てた物を冷やして希釈に使う。

また、わさびは市販の物に大根の先の方をおろして一緒に加えると、辛味と風味が増していっそう蕎麦の味を引き立てます。これですと、そんじょそこらの蕎麦屋さんよりはるかにおいしい物が食べられる事は請け合いです。 以上

風水ワンポイントアドバイス

先ほど台所のガスレンジの話が出ましたが、料理をする時の合理性、つまり使いやすさという点からの火口の数は四口が一番使いやすいそうです。これは魚を焼く火口も含めてです。

次が五口、三口と続きます。風水では台所でレンジを重要視します。煮炊きは人間が生命を維持するための根源だからです。

そして吉数の火口の数は三、四、五、となっていて、凶数は一、二、六、となっています。これは使いやすさとしての火口の数ともぴったりあいます。

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