森羅万象の旅日記 




タイムスリップ

今日のキャンプ地は野尻湖畔である。湖に一番近い所を選んで、例によって
五分間でテントの設営を終える。キャンプ場は松林の中にあるのだが、そこ
から湖にむかって桟橋が長く伸びている。

桟橋の先端まで行って戻ってくる時、木造二階建ての建物が目に入った。
うーん、この光景はみたことがあるぞ。だんだん記憶がよみがえってきた。
そうだ、まだ学生だった頃ここに来た事がある。

貧乏旅の会の仲間とここでキャンプをしたんだ。そして桟橋から湖に飛び込
んで泳いだっけ、あの二階建ての建物は東大の山の家で前の芝生にボート
が置いてあった。しかし今は使われていないようである。

思えばあれから相当時間が経った。あの時はまだ十代で、何も怖いものは
無くパワーだけがあった。その時の二人の仲間も、一人は歯医者になり、
もう一人は大学の学部長になった。

しかし、まさか私がこうして風水師となって、同じ場所でしかもキャンプをする
とは思わなかった。その歯医者になった友人だが、いまはオーリングにはま
ってしまっている。

だから彼とは"気"についての話がとても合う。"気"についての話で気が合うう
なんて、駄じゃれっぽいが、日本語には、元気、病気、人気、活気、などのほ
か、気分、気持ち、気楽、などのように気の付く用語が大変多い。

気を落とす、というのは文字どうりポロリと気が落ちるようにがっかりすること
であり、気が遠くなる、というのは体から気が抜け出してどこか遠くにいってし
まう、つまり気を失う事なのである。

今はやりの気功もそうだし、私のやっている太極拳もそうだが、個人差はあ
るだろうが、人間誰でも持っている気をいかに溜めたり、出したりするかという
ことなのである。

風水ワンポイントアドバイス

建物を建てる時の最適地の条件として「背山臨水」があげられる。

これは山を後ろに控え、近くに湖や川を要するということであるが、この場合
の山とは丘であったり森であっても良いのである。

日本の神社や寺院には後ろに森を控え前面に池をもってくる配置がよく見ら
れるが、これも風水の考え方から来たものと思われる。

先ほどの東大の山の家も、後ろに森を背負い前が開けて野尻湖を見渡せる
最適の場所に位置している。

建物が古くなったので立て直すらしいが、優秀な建築家が多い東大のことだ
から、是非、環境を取り込んだ素敵な建物を作ってもらいたい。

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