風水入門            




8.家の張りと欠け T

家で張りと欠けがあるのをご存知でしょうか。これは家を平面図で見た場合、一般的に外壁部分は、直線の場合が多いのですが、部分的に出っ張ったり、引っ込んだりしている場合があります。

この出っ張っている部分を「張り」といい、引っ込んでいる部分を「欠け」という言い方をします。家相書(風水書ではなく)ではこの張りを吉とし、欠けを凶としています。

家相書の中には、張りと欠けについての言及だけで、本の大半を占めている物もあります。そして、どれも鬼門の欠けを大凶としています。私にはどうもこの事が理解できないのです。

我々が住宅を設計するときは、まず、建てる場所の周囲の地形や環境を徹底的に調査します。それもなるべく条件の悪いときに、現地に行ったほうがいいですね。例えば、雨のときとか、平日のように。

次に、インフラ、つまり接続道路やこの土地が、以前どういう状態だったのか、田んぼだったのか、切り土なのか、盛り土なのか。水道管の直径は、排水の状況は、電気、ガス、電話、調査しなければならない事は沢山あります。

次に、施主の要望を聞きます。家族構成、生活スタイル、家に対する夢、将来の予測、あらゆる要望を聞きながら、専門家としてのアドバイスと夢を盛り込みながら設計図を作っていきます。この平面図が出来上がるまで、半年以上かかる事もめずらしいことではありません。

このようにして出来あっがた平面図の一部が欠けていたからといって、何の不都合があるのでしょう。現地の状況も、家族の状態も何も見ないで、ただ平面図だけ見て、ここが欠けているから凶だ、などとのたまわれては苦笑ものである。

私も日本各地で風水の講演をやっていますが、講演の後、自宅の平面図を持ってきて、ここの欠けが良くないと言われていますが、どうしたらいいのでしょう、などと質問を受ける事が度々あります。

そんな時私は、平面図だけみてもわかりません、現地の状況と、家族の暮らし方等から総合的に判断しないと何とも言えません、逆に欠けていて良い場合だってあります、と答えるようにしています。

欠けが即、凶ということならば、風水の教えどうり作られた京都御所はどう説明されたら良いのでしょう。京都御所の築地塀(ついじべい)は鬼門にあたる北東の角が見事に意識的に欠かれています。